アメリカの「普及する禅教育 驚きの効果」

熊本日日新聞H27年2月1日掲載記事の紹介です。

ロバートソン・黎子の 「ウーマンズ・アイ」

普及する禅教育 驚きの効果

 

115回目のこの欄で、アメリカに普及する座禅について書いた。「アメリカにこれほど禅が普及している実情におどろいた」という反応の次に目立ったのは、「学校教育に使われているとあるが、詳しく知りたい。日本では、座禅の体験というのはあるが、授業の中に取り入れているのはないようだ」という質問だった。禅の老師から、「学校教育に取り入れる具体案」が送られて来た。

 

アメリカでの学校教育の実態を、AP電は次のように伝えている。

 朝の始業ベルとともに、混雑した廊下から生徒たちがさっと消え、教師がチベット製リンを鳴らすと、マットと瞑想クッションの上に落ち着いた。

教師が言う。

 「今、この瞬間、ここに居る自分、それをただ感じましょう」

 

 オレゴン州ポートランド市ウイルソン高校で、90分週3回のこのクラスには、座禅、歩行禅、呼吸法、自分の心をただ見た上での記録、批判抜きで人の言葉を聞く訓練、などが含まれている。「プレッシャーがかかった時、過呼吸になる癖が治った」「問題と冷静に取り組めるようになった」など、好反応だ。


学校側は自殺問題の対処法になることを期待しており、オレゴン保険大学と共同で、生徒への影響研究を始めた。

 

 オハイオ州では小学校から瞑想教育を取り入れており、バーモント州は保険教育の一つに入れていて、幼稚園から高校までの瞑想法マニュアルを発行している。炭鉱と山の州ウエストバージニア州まで、全米で禅教育は取り入れられている。

 

 115回では、CBSテレビの禅特集を書いたが、それを追ってNBCテレビは、カリフォルニア州サンフランシスコ市の最低所得額地域にある。“荒れた中学”での禅実態を報じた。見るからに“ワル”の生徒たちが瞑想している影像は、迫力があった。「生徒たちはガンを見ない日はない。週3日は、暴力沙汰が起きる。


 70年代のヒッピーに流行っていた瞑想なんて~と疑問に思ったが、試してみた」結果は、4年後、登校禁止79%減、出席率98%増、学力も目立って向上、という驚きだった。


近隣の、“ファイト・スクール”と異名のある高校でも、同様の結果が出ている。

 

 

少数だが、反対の声もある。「東洋のヘンな仏教の風習で洗脳するクラスには、子供を出席させない」「太陽礼拝のヨガポーズは、一神教のキリスト教に反する」等々。

 

 米連邦最高裁は、1960年代に、学校教育に宗教を取り入れることを禁ずる判決を出している。仏教の言葉を避けて、瞑想を教える工夫がされている。

 

 

◇ロバートソン・れいこ 米ワシントン在住、国際ジャーナリスト。

 

≪熊本日日新聞H27年2月1日第5面掲載≫


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上記文章に関連して

昨年12月21日に掲載されていた第115回分を追加します。

≪熊本日日新聞H27年2月1日第5面掲載≫ 


ロバートソン・黎子の 「ウーマンズ・アイ」115回


多忙な日常と座禅の効用

師走は、どこも忙しい。クリスマスの準備、もうすぐの雪に備える庭の装備、パソコンに飛び込んでくる日本の衆議院選挙速報、などに追われた先週日曜の夜。やれやれと、とつけたテレビでは、「禅の瞑想」を報じていた。

 

日曜の夜7時のゴールデンタイム。「シックステイ・ミニッツ」という番組名の通り、60分間にわたって、三つぐらいのテーマをじっくり報道する。全米三大テレビ局の雄CBS放送が、1968年以来、欠かさず放映してきた人気番組である。

 

「ストレス続きの多忙な日常から脱出するためには、今、この一瞬に存在すること」と説く、座禅歴47年、著書10冊、全米で100以上の禅ゼミを開いてきたカバトジン氏に対して、テレビジャーナリストの第一人者アンダーソン・クーパー氏は、「私は、この瞬間を意識しているようには思えない。いつも、これから何をするか、過去にどうしたか、を考えている」と答える。

 

クーパー氏は、毎日2時間以上各局の番組に出ている。突出した“テレビの顔”で、東日本震災には日本に飛んで各地から名放送をし、この欄でもとりあげた。

 

 「それでは、過去と未来のみをさまよって、やがては死ぬ・・」「わお、気がめいる話ですね」という、普通のアメリカ人的反応問答から始まり、クーパー氏は、3日間の禅道場生活に入る。

 

 テレビ、携帯電話、パソコン、目覚まし時計など取り上げられて、外界と絶縁。携帯との別れが、一番こたえたそうな。座布団に結跏趺坐して一舜一舜の呼吸に集中し、食事も無言で、味わうことのみに集中する。心は絶えずさまようが、静かに引き戻して、今、この瞬間に、していること、感じていること、に集中する。

 

 「歩く時は、ただ、歩くだけ。他のことは何も考えない。バカみたいに聞こえるだろうけれど、確かに歩く感じを変えたのだ」とクーパー氏は語る。生活が変わったと驚き、座禅を続けると、サイトに書いている。

 

 瞑想状態に入ると脳波がとたんに変わる実験映像などもあり、「瞑想」と聞いただけでそっぽを向く普通のアメリカ人向けに、周到に準備された30分だった。

  

 オハイオ州選出テイム・ライアン米下院議員(民主)は、座禅歴6年、紛糾する予算委員会などで冷静に議論するのに役立つと言い、議員とスタッフの希望者に毎週座禅会を開いている。

 

 16日付けワシントン・タイムズ紙は、小学校から高校まで、座禅や瞑想のクラスが各州で開かれていて、成果を挙げている実情を報じた。ニューヨーク・タイムズ紙も同日、老子の「無為自然」思想についての記事を載せている。

以上

 


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